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すきなものをすきなときに

   
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あやこちゃんと
絵が無いとなかなか話が通じにくいのではないか…とヒヤヒヤしながらも文字ネタ吐き出し
小説じゃなくて文字ネームなんだよなあ
私のできる限界は・・・

その時、私はその子の事実がなんだかとても寂しい事のように思えたのだ


山奥の奥の奥。
日も暮れかけている。
先は樹木ばかりで全く道が無い。

そこにみやこが背を向けてずっと佇んでいる。
あやこが後ろで、息を切らしてその姿を睨みつけている。

「あんたどうやって抜け出したのよ。今、村中大騒ぎよ。わかってんの?」
みやこはそれに答えずに、怠惰に酷くゆっくりとあやこの方に向き直った。
顔には泣いた跡がついている。
「この道、」
少し喉をひくつかせながらみやこは
「ここで終わりなの・・・・」
と続けた。

(嗚呼この子は何が言いたいのかしら!)
あやこは、今までずっとみやこを探していた疲労から苛々しながら叫んだ。

「当たり前じゃない!道は終わってるじゃない!その先にあるのは森だけよ。
見ればわかるわ、誰だって!
どこにも続いていないのよ、その道は、そこで終わりよ!!!」

袋小路。
ここで終わり。

それまでぼんやりしていたみやこは、それを聞くと
突然弾かれたようにわああああっ、とその場に突っ伏した。
その豹変ぶりにあやこは面喰う。
しかし、みやこの湧きあがった激情はそのまま目の前の姉に向かって爆発した。

「あああああ、あああああああああああああああああ、
あんたなんか嫌い、求導師も嫌い、求導女も嫌い、医者も嫌い、村の奴らはみんなみんな大嫌い!!」

そして伏したまま今度は消えろ、消えろと叫びながら泣いている。
熱湯でぐらぐらしている鍋を思いっきりこちらにぶつけてくるような感情の激しさ。
あまりの事に戸惑ったあやこは、いつの間にか自分も半分泣きそうになりながら声を押し出した。
「なによ、私だって・・・あんたの事なんか、大嫌いなんだから・・・」

---------------------------------------------------------------------------------------------

真っ暗になった今でも、村中の人間が懐中電灯を片手にみやこを探しまわっている。

その時、奥の森の方面からぽつんと二人の少女の影が浮かび上がった。
「あれは!」
その事に気がついた村人が、その発見を周りに知らせる為に大声を上げた。
するとそれからは連鎖するように、他の村人が気がつき声を上げる。
「みやこ様だ!」「みやこ様がお戻りになられたぞ!」

みやことあやこは、二人ともじっと押し黙ったまま、ゆっくりと歩みを止めた。
二人の手は静かに、強く結ばれている。

反比例するように周囲の村人はどっと沸き、みやこの周りをあっという間に取り囲んだ。
「ミヤコ様、よくぞご無事で」
「どこにいらっしゃったのですか」
そんな風な言葉が飛び交っている。
みやこの姿を見て拝むような仕草をする老婆さえいた。

押し合いへし合い、みやこのまわりは大騒ぎ。

その騒ぎで自然と、あやことみやこの繋いでいた手はいつしか離れていた。
人垣から少し離れて、あやこはみやこをじっと見ていたが、
のろのろとした動作で自分の家に戻っていった。

あやこが玄関に入る時、みやこが戻ったと聞かされたのだろう、すれ違い様に母親が慌てて外に出て行ったが、あやこには気がつかなかったようだ。
バタバタと音を立ててみやこの元へ走っていく。

あやこも特に声をかける事は無く、そのまま洗面台へ向かう。
泣きはらした目を冷やす為に、ハンカチを濡らす。
自分の部屋に戻ったあやこは、少し行儀悪く学習机に足をどっかと乗せ、目にハンカチを押しあてた。

(村であの子の事を嫌いだって言ってあげれるのは、私しかいないんだわ)



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