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すきなものをすきなときに

   
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現代パロディ禅星ちゃん
ネタ出し 

星彩ちゃん…高校2年生 剣道部エース とっても強い 口に衣着せぬ物言いでちょっと怖がられている
劉禅ちゃん…大学2年生 飲み会で遊ぶ毎日 父親は会社を立ち上げ最近やっと軌道に乗り始めた 
社長の息子と言う事で割と合コンでモテる 地味大人しい見た目に反してお酒と女好き
関平ちゃん…高校2年生 星彩と同じ部活 星彩ちゃんとは幼なじみで片思い中

関家と張家は、父親同士が中が良かった事もあり昔から一緒に家族同士で遊んだりした 星彩と関平も子供の頃からよく遊んでいた
会社独立した劉備がカンウとチョウヒに会い雇用、上司部下の垣根を越えて意気投合←今ここ!


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星彩は父親の張飛に「今度の日曜一緒に遊べ」と突然告げられた。
よくよく聞いてみると、父は劉禅と星彩のデート(のようなもの)を勝手に約束したのだという。

父の口からは兄貴、という敬称でよく耳にする劉備という男の人は父が勤めている会社の社長の事だ。
父・張飛と関羽さんはビジネス関係だけではなく、個人的にも劉備さんと意気投合したようで、しょっちゅう遊んだり飲みに行っているらしい。
のみならず、「関羽と劉備と義兄弟の杯も交わした」などとなんだか映画に出てくる任侠モノのような事も父から話を聞いている(実際はお酒を飲んで盛り上がった場でのマネ事みたいな、お遊びみたいなもののような事だった。それでも星彩は父のひょんなところから出てくるこんな子供じみた純粋さが、本当は少し好きだった。)
もともとウチと関羽さんとは家同士が昔から仲が良かったこともあり、劉家も家族ぐるみで仲良くしたい、3つの家で付き合えるようになったら最高だと度々話していた。
そしてつい先日、父念願の劉家と関家と張家が初めて揃って食事をした。
そこで星彩は初めて劉禅――社長劉備の息子と顔を合わせたばかりである。
張飛は義兄弟の契りを交わした劉備の息子と自分の娘がくっついたらそれこそ本当の兄弟になれる!と内心張り切っているのだった。

星彩は父親の強引さにあきれ半分いつもの事かな…半分で「そんなの頼んでない、劉禅さんにも迷惑だから」 と父と自分二人分のコーヒーを淹れながら言う。
でも父親は全く気にしていない風で「向こうは大丈夫だって言ってるんだからいいんだよ それにお前が他人に興味持つなんて珍しいんだから話だけでもしてこい」と大声で笑った。
確かに星彩は、いつも物静かで他人とつるんだりすることは嫌いだ。美人ながらもその近寄りがたい冷たい視線に学内からは「氷の女」と噂されている。それでわかってくれる人だけがわかってくれればいい、と星彩も壁を作っている。
普段は初対面の相手なんて気まずいだけであり、正直そういう見知らぬ人がいる場も苦手でもあった。
その星彩が、劉禅に対してはどんな人なのか…と気になっていたのは事実である。
…でも、別にそれで一目ぼれだとか明確な恋愛感情だとかそういうんじゃなくてどんな人なんだろうって聞いただけなのに…と駄目押しのようにコーヒーを飲みながらボヤいた。
結局、父親の強烈な後押しもあり、星彩は劉禅と日曜日会う事になったのである。

日曜日、待ち合わせの時間ぴったりに劉禅はやってきた。
星彩を見つけると、間延びするような話し方で、「こんにちは」と声をかけてきた。
劉禅は前会った時のよう終始ににこにこ笑っていて、でも何を考えているのかよく掴めない。
星彩は一礼し、そのまま特に目的も決めずにどちらともなく二人で歩きだした。
鉄仮面で殆ど喋らない星彩と、頬笑みを浮かべながら歩いている劉禅は、傍から見ると恋人とも兄弟とも言い難い不思議な空間を作っていた。

星彩が普段行くところに行ってみたい、と劉禅が言うので関平や部員達とよく行くラーメン屋に行く事にした。
勿論劉禅はこんなところ行った事ないので店内の狭さと人に驚きながらも、ラーメンを食べている。
おいしいですね、とは言ってくれるものの相変わらずのニコニコ顔で、本心なのかどうかはわからない。
食事を終えお会計というところで、劉禅は当然のようにカードを出した。
店員が何か言う前に、星彩は(内心は慌ててそれでも表情は変えず)「払います」とサッと二人分のお金を出した事でこと無きを得るという小さなハプニングがあった。
が、それ以外はごく平凡な、緩やかな時間が過ぎて行った。

劉禅さんはどんなお店に行くんですかと聞かれて、今度は劉禅が(女の子をよく連れて行く)ブランドショップに足を運んだ。
ほわほわと虫も殺せないような劉禅も、その実お酒が大好きで合コンに呼ばれると喜んでついていき、そして出会った女の子と暫く付き合うというコースを定期的に繰り返していた。
が、さすがにそんな事を馬鹿正直に高校生に告げる程劉禅も暗愚では無い。

某有名ブランドショップのドアを開くと、店員シュンガイさん(♂)の「あらぁ劉禅様!お久しぶりですね」とヒラヒラと蝶のように舞うという大歓迎が待っていた。
星彩はまるで舞台のような挙動にやや面喰ったが、顔見知りらしい劉禅は笑いながら応対している。

店員と話している劉禅や、訪れる客層を見る。星彩のような高校生は、勿論見えない。
(私って場違いかな…)
劉禅はシュンガイさんとの話が盛り上がっているようで、取りあえず一人で店内をぶらぶらとしてみる。
ガラスケースに入っている指輪やアンクレットを見ても、あまりそういうお洒落なものに興味が湧かず、(すごく高いな)くらいしか感想が出てこない。
このくらいのお金があったら関平や部員達皆とお昼が何回、何ヶ月、行けるかな。防具だって買い替える事ができる。
気が付いたら劉禅が星彩の隣に来ていた。
値段をじっと見てた星彩を、これが欲しいのだと劉禅は思い、
「買おうか?」
と覗き込むように言う。
星彩はびっくりして、でもまさか勘違いです私は値段見てただけとはいえず、いえ、いいです、と咄嗟に断る。
それでも劉禅は「さっきのご飯は星彩さんが出してくれたから」と一人納得したように頷くと、特に迷う事なくレジの店員を呼んだ。
ラーメンなんて、そんなものなんて、正直ケタが何個も違う。
先ほどまでその値段で皮算用の妄想をしていたネックレスが、何でも無いかのようにぽんと包まれている。
「どうぞ」
普段滅多に表情を変える事のない星彩もさすがにこれは驚いて反応ができない。
そんな星彩を見て、「今日の記念に」とそのまま受け取るように手に直接渡してくる。
星彩もあっけに取られ子どもみたいな顔をしながらただ「ありがとうございます」と答えた。

その後も特に目立った会話も無く、二人は街をゆっくり歩いていくだけである。
ただ、国立スポーツ会館が橋の向こうに見えた時に星彩はあ、と声を出して
「来週あそこで地区大会があるんです」
「へぇ、なんのスポーツなの」
「剣道です」
とだけ会話があった。その後も2つ3つ話をしたような気がするけど、とにかく当たり障りなく茫洋としていてあまり覚えていない。
星彩は自分より少しだけ背の高い劉禅の後姿を見ながら、一日一緒にいたけれど初めて会った時と印象が変わらない、何を考えているのかがわからない、そしてやはり自分はそんな劉禅がどんな人なのか気になっているのだという事を自覚した。そしてそれが何故なのか――何故劉禅なのか、何故そんなに気になるのか、は自分でもよくわからない。
そのまま二人は何事もなく別れ帰って行った。

部屋に戻ってもまだ星彩はぼんやりしてた。
今日…劉禅さん 楽しく無かったかな…私はあまり喋ったりするの好きじゃないから良かったけど…ほとんど何にも喋ってないから、劉禅さんは詰まらなかったかもしれない。
そんな事を考えながらベッドに寝転がって天井を見る。
すると横に置いていたスマフォが震えてメールを知らせた。
見てみると、劉禅から 今日はありがとうございました、また一緒に遊べるといいですねと言った、社交辞令的な挨拶の御礼のようなものが届いている。
星彩も返信メールを「こちらこそありがとうございました 劉禅さんは今度いつが 」とまで打って
じっと液晶画面を見つめ、後半の文字は消して送信した。
あっちは大人で、これは父親同士が仲がいいからおつきあいでした事で、そういう大人の対応をこどもが真に受けては相手に迷惑以外のなにものでもない。
星彩はスマフォを投げ出すとそのままベッドに横になる。着替えもしていないから服に皺がつくな、という事を思いながら。
劉禅に買って貰ったネックレスはまだ封をあける事もできずにベッドに横たわっていた。

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剣道大会でそろそろ自分の試合が近いと準備をし始める星彩に、関平は「頑張って」と声をかけた。星彩も「関平も」といつものように簡素に答え甲手をつけた。

いよいよ決勝戦だ。
試合直前、対戦者と向かい合う時の緊張感は何度経験しても薄れない。冷たい氷りの上で刃がぴいんと鳴るような感覚。
一色即発のこの空気が星彩は大好きだった。そのまま対戦者をまっすぐに見つめなおす。
ふと観客席を見ると、一人の男の姿が目の端に移った。

星彩は少し目を見張る。荷物を隣に置いて、今席に座ろうとしているあの人は―――
いや、まさか、確かに話はしたけれど、だってあの時少し話しただけで。
面越しに移るその人物に星彩はまた少し目を凝らした。間違いない。
はっきりと確認できた劉禅の姿に、星彩の中で一気になにかが音を立てて胸に迫ってくる。

試合開始の審判の声とともに星彩は対戦者に向かって勢いよく足を踏み出した。

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表彰式もトロフィーもそこそこに、星彩は防具を簡単に脱ぎ棄てて着替えもしないまま走りだした。
自分でも何をそんなに慌てているのかよくわからない。でも何かが星彩を急かしていた。衝動のまま星彩は走った。

関羽、張飛は自分達の子供の試合だからと見に来ていて、それにあの劉禅がくっついて来たようだった。
3試合目で負けてしまった男子団体は、関平がしきりに泣いていてそれを父親の関羽が叱るように励ますように声をかけ肩に手を置いているのがちらりと見えた。
その横を通り過ぎ、そのまま劉禅のもとに走り寄る。
途中で気が付き視線をこちらに向ける劉禅は、やはり初めに会ったときのように、そしてこの前の時のように静かに微笑んでいた。
「星彩さん、優勝おめでとうございます 星彩さんはお強いんですね」
正しくはありがとうございます、と答えるべきだったのだろう。
だが走って来た星彩は、劉禅を前に、息を落ち着けず肩を揺らしたまま、
「あの、私、今度はあのネックレスをつけて行きます」
と言った。
そして直後、どうして自分からそんな言葉が出て来たのか全くわからずに星彩はじっと黙った。
劉禅は初めて少し驚いたような顔をして、その後ふわりと「はい」と笑った。




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