忍者ブログ

すきなものをすきなときに

   
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

久し振りにまたあの夢を見た
”どうしてこんなに悩まなければいけないのか”

眠っていたネタ出しのお時間だよ~ヤマボウさん!
前にもメモで言ってた一樹と麻衣ちゃんの過去話
オリジナル要素たっぷりなのと麻衣ちゃんの話なのでイジメ描写があるのと無駄に長い トリプルコンボなので気をつけてね




池田麻衣ちゃんのおさらい(2マニアックスより)

・胸のアザの件で同級生から苛められていた
・一樹だけはそういう態度は取らなかった
・麻衣は一樹に信頼を寄せており、友情以上の思いを抱いていたかもしれない
・一樹は麻衣に恋愛対象として見ていたわけではなかった
一樹の何気ない一言(悪気はない)によって、麻衣は自殺未遂 後の一樹のトラウマ
―それは、本当にさりげない一樹の一言によるものだったのかもしれないし、ちょっとした誤解によるものだったのかもしれない―(マニアックスアーカイブ089解説より)
・両親が夜見島に住んでいた事があり、また「胸のアザ」の徴からして「鳩の因子」の影響を麻衣が受けていた可能性あり

麻衣ちゃんオリジナル想像
mai.jpg



髪の毛はボサボサ
常に猫背

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
1 池田麻衣の独白

クラスには役割というものがある。
誰も口に出さなくてもそれはいつの間にか認識されその役割に皆上手に収まっていくものだ。
ピラミッドの頂点と底辺、人気者、お調子者、乱暴者、ボケ、つっこみ役、真面目、その他一般。
私、私は、ああそうだ、底だ。
一番下の下にいる。こうしている。
もうひとつ、底にいるという以外にも人と変わっている点があるけどそれは全く必要ない能力だ。
私の事なんかいないものとして扱って貰えればいい。空気みたいなものだって思ってもらえればいい。いつも息をひそめて暮らしているのだから、変なちょっかいを出すのはやめて欲しい。
そんな事ばかり考えながら、今日も学校に通っている。

目の前を歩く女子のポケットからハンカチが落ちた。
あれは確か…そうだ、クラスの「アイドル」の役の人だ。
可愛くて明るくて男子に一番の人気者。
声をかけようかどうか一瞬迷ったけど、もうハンカチを拾った後だったので、後ろから声をかけた。
「あの、これ落としたよ」


mai1.jpg


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

麻衣ちゃんが「鳩の影響」を受けていたとするなら何だろう?っていう事を考えるのも中々面白いですね
郁子ちゃんと同じ「他人の心が読める」っていうので想像していました

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
2 一樹守とのファーストコンタクト

他の人の心が聞こえてくるのがよく聞こえる日がある。今日はその日だ。
それは私が意識していてもいなくても、聞こうとしていてもいなくても、殆ど無関係に聞こえてくる。
漏れ出てくると言う表現がぴったりだ。
そんなもの私は聞きたくないのに、おかまいなしにだだ漏れに、あちらこちらから入ってくる。
勉強が嫌だとか、あの
CD欲しいなとか、あいつムカツクなとか中学生なんてそんなもの!

もしかしたらこの学校にも私の事を好意的に見てくれる人がいるかもしれない………そんな希望も、あっと言う間にぶった切りにされてしまう。
私が本当に皆から嫌われているんだという事が、漏れ出た心の声でわかってしまう。
……アザが………ああやって暗い目で見られると…………気持ちわるい…………
ああ!
今日は席替えらしいけどそんなものは底にいる私には全く関係のない事だ。
学校なんて爆発して私もクラスも全部無くなってしまえばいい!!
そんな私の願いは、やはり今日も叶えられずにいる。

新しく隣の席になった男子は、とりあえず馬鹿騒ぎしそうに無いタイプで安心する。
2年生になって大分時間がたったけど、正直私はクラスメイトの名前はほとんど覚えていない。他人とかかわらない私には別に問題は無いからだ。
「よろしく」
隣に座る男子は、眼鏡をかけなおしながらそうやってわざわざ私に声をかけてきた。
声をかけられるのは本当に久し振りだから、ちょっとびっくりしてしまう。
私の事はいじめられっこだってわかっている筈なのにおかしいな?
相手の名前を思い出せないので、胸につけている名札をなるべく自然に盗み見て、私も久し振りにクラスメイトと会話をした。
「うんよろしくね、かずき君」
そう返事をすると、相手は少しキョトンとした顔をした後何故か曖昧に笑った。
しかしすぐに私の目を見て「うん」と返事をしてくれた。

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

麻衣ちゃんはじめは一樹の事「かずき」って勘違いして呼んでればいいよ。
一樹もその間違いは小学生の頃から何回もされてるから慣れっこになってればいいよ。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
3 池田麻衣の暴発

隣の席になった一樹君の事は誤算だった。
私という存在は、クラスのはじき者であると皆に無言で認識されているというのに、そんな事はお構いなしにこちらに話しかけてくる。
どうやら一樹守という人間は「天然、ちょっとした変わり者」としてクラスメイトに受け止められており、何を言ってもあいつは変わっているからなという感じで皆から愛されているようだ。
よって、私とコミュニケーションをとっていても大しておとがめも無く、また一樹君本人も全く気にした風もなく私に話しかけてくる。

「消しゴムまた忘れたの?」
私が間違えた箇所をシャーペンでグリグリと塗りつぶしていると、隣の一樹君がそう言って消しゴムを渡してくる。
「あ…ううん…そうじゃなくて、あの、消しゴムって筆箱に入れててもなんかすぐ無くなっちゃってて…」
ゴニョゴニョと答える。そして大抵新しい消しゴムを買った後に、前の消しゴムが出てくるという事を私何度か繰り返していた。
〈池田って変わってるなあ〉
「あはは、池田って変わってるな」
一樹君の心の声と一緒に聞こえてくる。でも変わり者の一樹君にだけは「変わってる」って言われたくない、なんて考えながら私も笑った。

それは「普通」の人から見れば本当にささやかで大したことはないのかもしれない。でも僅かながら、学校に通うのが前ほど辛くなくなってきていた。
相変わらずクラスの私に対する冷たさは変わっていないけれど、一樹君の存在が確実に私の支えになっていた。
席替えで会話した数日後、本当は「かずき」じゃなくて「いつき」と読むのだと知った時は久々に心の底から慌てた。でも一樹君は、「俺はかずきってよく間違えられるし、いつきって読めてもそれが下の名前だっていう勘違いもよくされるんだ」と笑っていた。そうして「ややこしいから守って呼んでもいい」とまで言われたけれど、まるで恋人のようなあまりの恥ずかしさに慌てて遠慮させて貰った。

毎日、一樹君はマイペースだった。私の、クラスの苛められっ子の役割という価値観に鈍感だった。それは敢えて一樹君が”見ていない”のかもしれない、とそのうち考えるようになった。
一樹君のもたらす鈍さや、一樹君によって守られた関係性、そういった優しさが私たちの時間を成り立たせていた。

放課後、教科書を忘れた事に気がついた私は教室に戻る。
そうするとクラスの数人の女子グループが残っていた。
私が教室に入ってきた、という事に気がつくと一瞬沈黙が訪れその後ヒソヒソ話が始まる。
ああ、彼女達は特に性悪で私に嫌がらせをしてくるグループだ。早く教科書を取って帰ろう。そう思って自分の机の中を探したけれど、おかしい。無い。
急ごうとすればかえって時間がかかるようで、引っ張りだした別のノートや教科書をそこらにバラまいてしまう。
女子グループはそれを見てクスクスと遠巻きに笑っていた。「あいつ、何探してるの?」「しらなーい」「ゆっち隠したんじゃないの?」「えー?あいつの机とかキショくて触れないでしょ」
いつもこいつらは、私に聞こえるように陰口を言ってくる。なんとか散らばった教科書を集めてもう一度探してみるけど、やっぱり無い。
この女子グループがいるし、今日はもう諦めて帰ろう。私はそう決めてなるべく早く片付けて、教室から出ようとする。
そういう気配に気がついたのか、女子グループはまた笑い声を立てて大声で会話を続ける。
「あの胸のアザさあ」「ねえ」「なんで学校来てんの?」「ウザイ」「一樹が優しくしてるからじゃない?」「えー?もしかして…一樹が優しいからあいつ勘違いしてるの?」それから顔を突き合わせひそめて「「キモーーイ!!」」と声を揃えてはしゃいだ。
女子特有の甲高い笑い声が、夕焼け色に染まった教室にこだました。

私がこいつらに何かした事があっただろうか?
いつもじっとしてる。誰かの悪口を言ったり、迷惑かけたり、嫌がらせしたりした事なんて一度もない。ただの一度もない。
ただそっと学生生活を過ごせればいい。それだけが私の望みだった。
こいつらは何の権利を持っているの?私を貶める何の権利を持っているの?一樹君を、私の唯一の心の支えの、一樹君を………!

教室がぐにゃりと曲がって見えた。あいつらの笑い声が遠くに聞こえる。でもやたらと耳につく。ああ!うるさい!面倒くさい!ばあんと私の中の何かが弾ける音が、確かに聞こえた。
「私にはわかっているんだ!」
mai2.jpg

そうだ、私にはわかってる!お前たちの心がようくわかってる!表面上は仲の良いフリばかりでお前達が心でどんなに汚い言葉を心で吐いているのか、私は知っている!陰口なんで目じゃない、私に漏れ出て聞こえてくる本性がどんなにどろどろで濁っていてドブ川の様にけがらわしいか、私は知っている!
「あんたは心の中じゃこいつの事を体の良い友達だとしか思っていないよね」
私は一人の女子を指さして言った。相手は普段大人しかった私が何を言い出すのかと眉をしかめていたが、次の私の言葉で息を呑んだ。
「腹の中じゃブスっていつも呼んでるよね?サッカー部の先輩が好きでどうやって告白しよう?なんて相談された時は親身になって聞いてる振りしてお前みたいなブスが付きあえるわけないだろ面倒臭いなって思ってるよね?街に遊びに行く時も、こいつはブスでセンスも無いけどまあ私の引き立て役になるかなって思ってお友達してるだけ!」
次に隣の女子を指さす。
「お前はお前で先輩と付き合ったら…なんて甘い夢ばかり想像してる。こっそり盗みみてるエロイ漫画の知識ばかりで先輩とこんな風になったら…なんてアブノーマルな妄想ばかりしてる、私よりよっぽどお前の方がキモイんだよ」
そんな風に畳みかけるとすっかり固まってしまっている。
そのまま指をずらすとギクリと次の女子の体がこわばった。
「お店のもの万引きするのってどんな気分?ああそう、どんな気分か私は知ってる!ばれなきゃいいな、ちょっとくらいなら別にいいよね、お小遣い少ないから仕方がないな、それだけ!あんたのやってる事は立派な犯罪なんだよ、この犯罪者!」
叩きつけるように言うと相手はあっと言う間に青ざめた。
そう、それは当事者にしか知り得ない事実。本人しか知らない秘め事。でも私は知っているの。お前達の事を、親友よりも親よりも兄弟よりも、私が一番よく知っているの。

西日が強く私を射し濃い影を作ったけれど、誰ひとりとしてそこから動かず石像のようにじっと佇んでいた。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

忘れていたと思った教科書は麻衣ちゃんの鞄の底にありました。うっかり麻衣ちゃん

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

4 一樹守の心情

今日は苦手な英語があるから憂鬱だな、という事を考えながら一樹は席についた。
隣にはもう池田が座っていて教科書の準備も終わっていたが、ぼんやりと死んだ目をして座っている。
最近はこちらから話しかけなくても池田の方から話してきたり、大分リラックスして自分と笑いあったりしていたのに、まるで最初の頃に戻ったみたいだなと少しひっかかる。
まだ授業まで少し時間がある。一樹はなるべくいつもの調子で声をかけた。
「英語、宿題やってきた?」
「うん」
と目を合わせずにやはり遠くを見るようにしてぼんやりと池田は答える。
「今日元気ないな」
すると池田は少しこちらに顔を傾けて、ボソリと呟いた。
「一樹君は、どうして私に話してくるの」
「え?」
「私と話してても何の良い事もないよ。誰にでも優しいいい人になりたいの?でもね、やっぱり私にはあまり近づかない方がいいよ。私はね…」
形容し難い鈍い光を伴った目をした池田を、一樹はこんな目をした彼女を初めて見るなとじっと見つめた。
「人の心がわかるから」
それだけ言うと後は何も話す事はない、とまた池田は沈黙を守った。
一樹は少し首を傾げて、今の会話の意味を考えはじめる。突然どうしたのだろう?何かあったのだろうか?そうして暫く思案していた。
おそらくまたクラスの奴らが心ない事を言ったに違いない、それで池田は傷ついて自分は皆からどうせ嫌われていると自暴自棄になって「人の心がわかる」のだと表現したのだろう、と一樹はそんな風に解析した。
「考えている事がわかるの?」
「そうだよ。クラスの人が私の事どんな風に考えてるかくらい、よくわかるよ」
一樹はやはりそうだ、自分の読みは間違っていない、そう確信し――それは真実からはズレた結論だったが――池田の方を見て切りだす。
「俺は?」
「え」
「俺も、クラスの奴らと同じ風に池田の事考えてる?」
池田は言葉に詰まった。

席替え。初めて話しかけられた時。目を見る事が苦手だけど、そっと自然に合わせてくる一樹君。初めて言う冗談。一樹君がわからないフリをする優しさ。一樹君の心が時々こちらに流れてくる時、その時の言葉は――――

色々な思い出がどっと寄せてきて、池田は何かを呑みこみそっと握りしめた自分の拳を見つめた。
「一樹君は、」
そこでチャイムが鳴る。先生が入ってくる。英語の通例の挨拶。皆も英語で答える。でも私は声を出せずにいる。
そうだ、一樹君は、一樹君だけは――――…

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

とりあえず前半終了!後半は近々上げます
麻衣ちゃんは中学生独特の閉鎖された空間からの性格の曲がり具合があると思っている…
PR
  
COMMENT
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
リンク
バーコード
ブログ内検索
Copyright ©  -- こもごも --  All Rights Reserved

Design by CriCri / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]